睡眠障害にはさまざまな疾患がありますが、睡眠時無呼吸症候群は自覚症状が 少ないにもかかわらず、日中眠いことにより日常生活に多大な支障をきたす疾患です。 しかし、日本では専門の診療施設の不足等から診断と治療が十分に行なわれていないのが現状です。
睡眠時無呼吸症候群は一晩の睡眠中に30回以上の無呼吸(10 秒以上の鼻と口での気流停止)または1時間あたり5回以上の無呼吸を認めるものと定義されています。日本ではその有病率が男性で3.28%、女性で0.5%全体では約2%(200万人)とも言われています。循環器系、自律神経系、内分泌系、造血機能系に影響を及ぼし突然死の原因、交通事故の誘因として注目されつつある病態です。
平成15年2月に岡山駅で新幹線が自動制御装置により緊急停止し、居眠りをしていた運転士が重症の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。マスメディアによる報道も増え、国民の関心も高まりつつあります。 睡眠時無呼吸症候群の症状習慣性のいびき、日中ひどく眠い、睡眠中に息ができなくなって起きた睡眠時間は十分なのに朝起きたときにスッキリしない、頭が痛い等の症状があればご相談下さい。睡眠時無呼吸症候群の合併症の発症率は高血圧が2倍、冠動脈疾患が3倍、脳血管障害が4倍、交通事故発生率が7倍と言われています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大人の病気だと考えられがちですが、成長に伴う口蓋扁桃やアデノイドの肥大が原因となって、子どもにも起こる病気です。昼間の眠気や寝起きが悪い、夜尿症の原因となることもあります、落ち着きがなくなる、イライラなどの症状から発達障害の一種であるADHD(注意欠陥/多動性障害)と間違えられるケースもあり、専門医による正確な診断が必要となります。子どもの睡眠時無呼吸症候群は、診断が難しく、検査は専門医療機関で、治療は睡眠呼吸障害が専門の耳鼻咽喉科医師による判断が必要な場合があります。
原因 | 口蓋扁桃肥大、咽頭扁桃肥大(アデノイド)、小顎症等 |
---|---|
症状 | 大きないびき、息が止まっている、寝相が極端に悪い、おねしょをする、注意力がない、無気力、疲れやすい、不機嫌になりやすい、寝起きが悪い、昼寝が多い、発育・学力に遅れがある、食事が十分にとれない |
検査・診断 | ・レントゲン撮影(アデノイド・口蓋扁桃) ・夜間の睡眠状態観察(家庭ビデオによる撮影) ・終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査 |
治療 | 検査結果により手術適応の判断(口蓋返答摘出術、アデノイド切除術)在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)等 お子さまのいびき…放置してはいけません。悩む前にまず録画と診察。 子供は夜「すやすや」眠るのが普通です。しかし約20%の子供は「いびき」があり約4%に睡眠時無呼吸があると言われています。大きな寝息ぐらいなら心配いりませんが、激しい「いびき」や就寝中に呼吸が苦しそうな様子があるなら睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。 |
小児の睡眠時無呼吸症候群を疑う観察ポイント
睡眠時 | いびきをかく、息が数秒間止まる、夜中に何度も起きる、うつぶせ寝が多い、寝返りが激しい、座って寝る、夜尿(おねしょ)がある、呼吸時に胸がへこむ |
---|---|
起床時 | 寝起きが悪い、睡眠時間が長い、不機嫌、頭痛がある |
日常生活 | 集中力がない、口で呼吸をしている、授業中いねむりをする、夕食前に寝てしまう、体重が増えない |
口蓋扁桃肥大やアデノイド増殖が原因の場合は、手術により劇的に改善する場合があります。アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎などで鼻閉がある場合には、鼻疾患の治療も必要になります。適切な治療のためには適切な検査と診断が必要です。